2026/09/14

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水の官民連携(ウォーターPPP)から考える、10年後も「わかる」施設管理

水の官民連携(ウォーターPPP)から考える、10年後も「わかる」施設管理

こんにちは。アーリーリフレクション BIMSTOKチームの三井です。

インフラ分野では、人材不足や施設の老朽化が進むなか、限られた人員で、これからもインフラを維持し続けていくための仕組みづくりが求められています。
そのため、官民連携や広域連携、多分野連携など、組織や地域、分野の枠を越えて、維持管理を効率化・高度化していく動きが広がっています。

下水道分野でも、こうした流れを背景に、官民が長期的に連携して維持管理や更新に取り組む動きが進んでいます。

その一つが、「水の官民連携(ウォーターPPP)」です。

国土交通省が公表している「水の官民連携」ガイドラインでは、「管理・更新一体マネジメント方式(レベル3.5)」において、原則10年という長期契約のもと、日々の維持管理から施設の修繕・更新までを見据えて、官民で取り組んでいく考え方が示されています。

10年という期間のなかでは、日々の点検や修繕、設備の更新などを通じて、さまざまな情報が蓄積されていきます。同時に、自治体・民間事業者の双方で、異動や退職などによって担当者が変わることもあります。

そのとき、設備台帳や点検記録、図面、写真、報告書などのデータが残っていたとしても、次の担当者がそれらを見て、施設の状況をすぐに理解できるとは限りません。

長期にわたる官民連携だからこそ、情報を蓄積するだけではなく、担当者が変わっても、

  • 「どこに、何があるのか」
  • 「これまで、何が起きたのか」
  • 「今、どうなっているのか」

を、自治体と民間事業者の双方が把握できる状態をつくっていくことが重要だと考えています。

本記事では、「施設情報の継承・共有」という視点から、水の官民連携におけるこれからの施設情報管理について考えます。

1. 長期の官民連携で重要になる「情報の共有と継承」

水の官民連携では、民間事業者が日々の維持管理や点検、修繕などを担うことで、現場に関するさまざまな情報や知見が蓄積されていきます。

一方で、自治体には、施設の状況を把握し、民間事業者の業務をモニタリングしながら、必要な判断を行っていく役割があります。

そのため、長期にわたって官民が協働していくためには、自治体と民間事業者が、施設管理に必要な情報を共有し、共通認識を持てる環境が重要になります。

また、10年という期間を考えると、情報共有だけでなく、その情報を次の担当者へどう引き継いでいくかという視点も欠かせません。

特定の担当者の経験や記憶に頼るのではなく、担当者が変わっても施設の状況を理解できる状態をつくることが、長期的な施設管理の基盤になります。

2. 「情報がある」ことと、「わかる」ことは同じではない

施設管理では、設備台帳をはじめ、点検記録、修繕履歴、図面、写真、報告書など、多くの情報が管理されています。

しかし、それぞれの情報が存在していても、必要な情報にすぐたどり着けるとは限りません。

例えば、設備台帳に設備名称や型式、各設備に紐づく点検結果、修繕履歴が記録されていても、その施設に詳しくない人にとっては、

  • この設備は施設のどこにあるのか
  • 周囲にはどのような設備があるのか
  • 過去にどのような異常や修繕があったのか
  • 関連する写真、資料はどこにあるのか

といった情報まで、すぐにたどり着けるとは限りません。

設備台帳をはじめ、それぞれの情報がきちんと記録・保存されていても、情報同士のつながりが見えなければ、必要な情報を探し、状況を理解するまでに時間がかかります。

3. 「場所・空間」と「情報」をつなぐ

では、施設に関するさまざまな情報を、誰もが「わかる」状態にするには、どうすればよいのでしょうか。

その方法のひとつが、「場所・空間」と「情報」をつなぐことです。

設備台帳では、設備名称や型式、点検結果、修繕履歴など、「何があるか」を整理・管理できます。

そこにBIMによる「場所・空間」の情報を加えることで、「どこにあるのか」「周囲に何があるのか」といった施設内での位置や関係性も把握しやすくなります。

さらに、設備を起点に、点検・修繕履歴、写真、図面、マニュアルなどの情報を紐づけておけば、複数の台帳やフォルダを行き来しながら情報を探すのではなく、施設の場所や設備から、関連する情報へたどり着くことができます。

これは、単に施設を3Dで見られるようにすることが目的ではありません。

これまで担当者の経験や記憶によって補われていた、「この設備はここにあり、この情報と関係している」というつながりを、誰もが確認できる形にすることに意味があります。

「場所・空間」と「情報」をつなぐことで、施設に詳しい人だけが情報を探せる状態から、担当者が変わっても、必要な情報にたどり着き、状況を理解できる状態へ。

こうした情報の持ち方が、長期にわたる施設管理における情報共有や継承を支える一つの方法になると考えています。

4. 官民で「必要な情報」を共有できる環境へ

「場所・空間」と「情報」をつなぐことは、自治体と民間事業者の情報共有にも役立ちます。

自治体にとっては、日々の維持管理を民間事業者が担うなかでも、施設のどこで何が起きているのか、これまでどのような対応が行われてきたのかを把握しやすくなります。

一方、民間事業者にとっても、施設の状況を説明するたびに複数の資料を探し、準備したり、担当者が変わるたびに情報を整理して引き継いだりする負担の軽減につながります。

こうした必要な施設情報を、必要なときに確認・共有できる環境を整えることが、自治体の安心と民間事業者の負担軽減につながります。

長期にわたる官民連携を支えるうえでも、こうした施設情報基盤の整備が重要になると考えています。

5. BIMSTOKで、施設情報を誰もが「わかる」状態へ

私たちが提供するBIM/CIM施設管理クラウド「BIMSTOK」は、BIMによる「場所・空間」と、施設に関する「情報」をつなぐプラットフォームです。

BIM上の設備を起点に、設備情報や点検・修繕履歴、写真、マニュアルなどを紐づけて管理することで、必要な情報へ素早くアクセスできます。

例えば、設備を選択すると、その設備の属性情報だけでなく、これまでに蓄積された点検結果や異常、修繕履歴などを確認できます。

また、BIMや施設情報に詳しい人だけが使えるのではなく、誰もが必要な情報を見つけ、活用できる環境を目指しています。

それを実現する機能のひとつが、AIアシスタントです。

BIMの属性情報に加え、日々蓄積される点検結果や異常、修繕履歴などの情報をAIから検索・活用することで、

  • 「この設備で過去に異常はあった?」
  • 「最近修繕した設備は?」
  • 「この設備の過去の点検結果を確認したい」

といった質問から、必要な情報を探すことができます。

「どこにあるかわからない」「どの資料を見ればよいかわからない」「誰に聞けばよいかわからない」から、AIに聞くことで必要な情報にたどり着ける状態へ。

BIMSTOKでは、既存の設備台帳や維持管理システムなども活かしながら、「場所・空間」と「情報」をつなぎ、施設情報をよりわかりやすく活用できる環境づくりを支援しています。

6. 10年後も「わかる」施設管理へ

水の官民連携では、10年間の業務をどのように進めるかだけでなく、その間に蓄積された施設情報を、その先へどうつないでいくかという視点も重要です。

10年の間には、設備も変わり、情報も増え、担当する人も変わっていきます。

だからこそ、設備台帳や点検記録、修繕履歴、図面、写真などをただ残すだけではなく、それぞれの情報をつなぎ

  • 「どこに、何があるのか」
  • 「これまで、何が起きたのか」
  • 「今、どうなっているのか」

を、担当者が変わっても把握できる状態で残していくことが大切です。

「情報がある」から、誰もが「わかる」へ。

「場所・空間」と「情報」をつなぎ、必要な情報を必要なときに確認できる環境をつくることが、長期にわたる官民連携における、施設情報の共有や継承を支えていくと考えています。

◾️ 執筆者プロフィール


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「場所・空間」を活用した施設情報管理にご関心のある方は、ぜひご覧ください。

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