2026/07/01

  • 基礎知識

BIM/CIMとは?CADとの違い、導入のメリットや活用方法

BIM/CIMとは?CADとの違い、導入のメリットや活用方法

「BIM/CIMという言葉をよく聞くが、従来のCADと何が違うのかわからない」「導入すべきか迷っている」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか?

本記事を読むことで、BIM/CIMの基礎知識からCADとの違い、導入による具体的なメリット、そして企画から維持管理に至るまでの活用方法までを網羅的に理解することができます。

1. BIM/CIMとは?

BIM/CIMとは、建物や土木構造物の3次元モデルに、材料・仕様・コストといった「情報」を組み合わせて管理する手法の総称です。建築分野の「BIM」と土木分野の「CIM」を合わせた呼び方で、国土交通省もこの表記で3次元データ活用を推進しています。

こう聞くと、「3Dモデルなら3D CADと同じでは?」と思われるかもしれません。実は、BIM/CIMの本質は3Dであることではありません。まずBIMとCIMそれぞれの意味を押さえたうえで、CADとの違いからその本質を見ていきましょう。

  • BIM(Building Information Modeling)とは?

BIM(Building Information Modeling)とは、建築物の3次元モデルに「属性情報」を組み合わせて、建物に関する情報を一元管理する手法です。属性情報とは、部材の材料や寸法、製品の型番、コスト、設備の仕様といった、形状以外のあらゆる情報を指します。

モデル上の壁や設備は単なる立体形状ではなく、「何でできているか」「どんな性能か」「いつ設置されたか」という情報を持ったオブジェクトです。この情報を設計・施工・維持管理の各フェーズで活用していくのがBIMの考え方です。

  • CIM(Construction Information Modeling)とは?

CIM(Construction Information Modeling)は、BIMの考え方を土木分野に適用したものです。対象となるのは、橋梁・トンネル・ダム・道路といったインフラ構造物です。

管理する対象は異なりますが、3次元モデルに情報を紐づけて、計画・設計から施工、維持管理までのライフサイクル全体で活用するという基本思想はBIMと共通です。

2. BIM/CIMとCADの違い

CAD(Computer Aided Design)は、手書きの図面をコンピューター上でデジタル化したものです。2D CADは平面図・断面図を作成でき、3D CADは形状を立体的に表現できますが、いずれも「形状情報」のみを扱います。つまり、3Dモデルであっても、データとしては面や線の集まりにすぎません。

BIM/CIMが根本的に異なるのは、形状に加えて「属性情報」を持っている点です。例えばBIMモデル上の壁をクリックすると、使用材料・断熱性能・コスト・施工業者・設置日など、その壁に紐づく詳細情報をすぐに確認できます。CADとの違いは2Dか3Dかではなく、情報を持っているかどうかなのです。

さらに、図面の作り方そのものも異なります。CADでは、平面図・立面図・断面図を1枚ずつ人が描き、それぞれ別のファイルとして管理します。そのため設計変更があると、関係するすべての図面を1枚ずつ手作業で修正しなければなりません。

BIM/CIMでは、図面を1枚ずつ描くのではなく、まず建物の3Dモデルを作ります。平面図や断面図は、そのモデルを上から見たり、横から切って見たりした「ビュー」として自動的に生成されます。元が一つのモデルなので、モデル上で壁を一枚動かせば、その壁が写るすべての図面に変更が反映され、図面同士の食い違いが起こりません。

CADがあくまで「図面を描くツール」であるのに対し、BIM/CIMは「建物や構造物のデータベース」として機能します。

3. なぜ今、BIM/CIMが注目されているのか?

BIM/CIMが「情報のデータベース」であることは、いまの建設業界が抱える課題と深く関係しています。

建設業界では慢性的な人手不足と高齢化が進み、少ない人数で生産性を上げることが急務となっています。加えて、ベテラン技術者の退職により、図面や設備に関する知識・ノウハウが失われる「技術承継」の問題も深刻です。紙の図面や個人の経験に頼った情報管理では、この課題に対応しきれなくなってきました。建物や構造物の情報をデジタルデータとして一元管理できるBIM/CIMは、まさにこの課題への答えとして期待されています。

国の後押しも明確です。国土交通省は2023年度に、小規模を除く全ての公共工事でBIM/CIMの原則適用を開始し、以降も活用の範囲を広げています。民間でも大手ゼネコンや設計事務所を中心に導入が加速しています。

さらに、建物のライフサイクル全体で見ると、コストの大半は竣工後の維持管理フェーズで発生します。設計・施工で作成したモデルに蓄積された情報を、竣工後何十年にもわたる維持管理に活用したい。このニーズの高まりが、BIM/CIMへの注目を一段と押し上げています。

4. BIM/CIMを導入する3つのメリット

①業務効率化

BIM/CIM導入による最も直接的な効果は、設計・施工業務の大幅な効率化です。3Dモデルから平面図・立面図・断面図・数量表が自動生成されるため、従来は数日かかっていた図面修正作業が数時間に短縮されたという事例も少なくありません。

また、干渉チェック(異なる設備・構造部材が空間上でぶつかっていないかの確認)を自動で行えるため、施工段階での手戻りや手直し工事を未然に防ぐことができます。ゼネコン大手の試算では、BIM/CIM導入により施工図作成工数を約30〜40%削減できるとされています。

②コミュニケーションと合意形成

3Dモデルを用いることで、設計者・施工者・発注者・施設管理者など、専門知識が異なるステークホルダー間での情報共有とコミュニケーションが飛躍的に向上します。

2D図面では専門家でなければ空間を正確にイメージするのが難しいですが、3Dビジュアルであれば直感的に理解できます。完成イメージの齟齬による設計変更や手戻りを減らせるため、プロジェクト全体のコスト削減にも直結します。

③施設管理・維持管理の最適化

竣工後の建物においてBIM/CIMを活用することで、設備の点検履歴・修繕記録・劣化状況を3Dモデル上で一元管理できます。従来は紙台帳や担当者の記憶に依存していた設備情報が、誰でもアクセスできるデジタルデータとして蓄積されるため、ベテランの退職や異動による情報断絶リスクを大幅に低減できます。

5. BIM/CIMの具体的な活用方法

  • 企画・設計におけるBIM/CIM活用

設計段階では、構造・建築・設備の各専門設計者が同一のBIM/CIMモデルを共有しながら協調設計を行う「統合設計」が実現します。設計変更が発生した際も、モデルを更新するだけで各専門図面に自動反映されるため、調整業務の効率が大幅に向上します。

さらに近年は、BIM/CIMモデルに含まれる形状・材料などの情報を、エネルギーシミュレーションや省エネ性能の検討に活用する取り組みも広がりつつあります。断熱性能・日射量・空調負荷などを設計段階で検証し、複数の設計案を比較することで、ライフサイクルコストやランニングコストを見据えた設計判断がしやすくなります。

  • 施工におけるBIM/CIM活用

施工段階では、BIM/CIMの3Dモデルに工程情報を組み合わせた「4D」の活用により、施工手順の可視化や工程計画の検討が行えます。また、現場でタブレットやスマートフォンからモデルを参照することで、図面の持ち込みや照合作業を削減し、現場作業の効率化につなげられます。

さらに、モデルから出力した正確な部材の寸法・数量データを工場製作に活用することで、プレファブ化や現場作業の削減につなげる取り組みも進んでいます。

  • 維持管理におけるBIM/CIM活用

竣工モデルを維持管理に引き継ぐことで、設備機器の仕様・設置年・点検履歴といった情報を3Dモデル上で一元管理できます。取扱説明書や竣工図、過去の修繕報告書などを該当設備に紐づけておけば、「どこの・何の設備か」を空間から直感的に探せるようになり、情報が担当者の記憶や個別のフォルダに埋もれるのを防げます。

また、天井裏や壁内など目視できない隠蔽部の状況をモデルで確認できるため、トラブル対応や改修計画の初動を早められます。蓄積した点検・修繕履歴は、中長期的な修繕・更新計画を検討するうえでの基礎データとしても活用できます。

こうして情報を集約したモデルは、将来的にセンサーやIoTと連携させることで、建物の状態をリアルタイムに映し出す「デジタルツイン」へと発展させる基盤にもなります。

6. BIM/CIM導入にあたっての課題と注意点

  • コスト面

BIM/CIM導入には、ライセンス費用(主要ソフトは年間数十万〜数百万円/ライセンス)に加え、3Dモデルを快適に扱える高性能なPCの用意、そして操作を習得するための学習コストが発生します。特に中小規模の設計事務所や施工会社にとっては、初期投資の負担が大きいのが現状です。

ただし、国土交通省や各都道府県が提供するBIM/CIM導入補助金や、建設DX関連の助成制度を活用することで、初期コストを抑えた段階的な導入が可能です。費用対効果を試算する際は、導入後の業務効率化・手戻り削減・維持管理コスト最適化による長期的な効益を合わせて評価することが重要です。

  • 人材・ノウハウ面

BIM/CIMは単なるソフトウェアの習得にとどまらず、情報の入力ルール・モデルの詳細度(LOD)設定・データ共有プロセスの設計など、組織全体の業務フロー変革を伴います。担当者個人のスキルアップだけでなく、社内のBIM/CIM標準・ガイドラインの整備と、全社的な推進体制の構築が不可欠です。

外部のコンサルタントや、BIM/CIM専門の研修機関を活用しながら段階的に内製化していくアプローチが、多くの企業で採用されています。

  • 運用オペレーション面

BIM/CIMの真価は、設計・施工・維持管理の各フェーズを通じてモデルが継続的に活用されることで発揮されます。しかし実態としては、設計段階で作成されたBIM/CIMモデルが竣工後に活用されずに眠ってしまうケースが少なくありません。

この問題を防ぐには、プロジェクト開始時点から「維持管理フェーズで何のデータを使うか」を定義し、そのデータを設計段階から正しく入力するためのBIM/CIM実行計画書 を策定することが重要です。

7. まとめ

BIM/CIMは、建設業界の生産性向上・品質改善・維持管理効率化を実現する強力なデジタルツールです。CADが「図面を描くツール」であるのに対し、BIM/CIMは「建物の情報を生涯にわたって管理するプラットフォーム」として機能します。

導入には一定のコストと体制整備が必要ですが、設計段階から維持管理まで一貫してBIM/CIMを活用することで、建物のライフサイクル全体にわたるコスト最適化と業務効率化が実現します。まずは自社の課題を整理し、どのフェーズからBIM/CIMを導入するかを明確にするところから始めてみましょう。


維持管理BIM/CIMの導入や活用について、以下のような課題をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

  • 点群データから維持管理用BIM/CIMを作成したい
  • 既存のBIM/CIMデータを維持管理に活用できるか知りたい
  • 点検記録や補修履歴をBIM/CIMモデル上で管理したい
  • BIM/CIMを活用した維持管理業務の進め方を相談したい

実際の業務課題や管理対象を伺いながら、BIMSTOKでどのような活用が可能かをご説明いたします。

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