2026/07/15
- 活用ノウハウ
BIM/CIM活用で陥りやすい3つの落とし穴と、維持管理で使い続けるためのポイント

BIM/CIMの導入が進む一方で、「BIM/CIMモデルを作成したものの、後工程で十分に活用できていない」「情報の更新や共有が定着せず、最新の状態を維持できない」といったお声をよく伺います。
BIM/CIMは、作成することがゴールではありません。設計・施工・維持管理といった各工程で活用されてこそ、本来の価値を発揮します。
特に維持管理フェーズでは、施設を長期にわたって使い続けるために、点検結果や補修履歴、不具合の記録など、さまざまな情報を継続的に更新していく必要があります。
そのため、BIM/CIMを「作って納品するもの」ではなく、使い続けるための情報基盤として捉え直す視点が欠かせません。
本記事では、BIM/CIM活用で陥りやすい3つの落とし穴と、維持管理フェーズで活用するために押さえておきたい考え方を整理します。
1. 落とし穴①:BIM/CIM作成が“目的”になってしまう
BIM/CIM活用でまず注意したいのは、BIM/CIMを作成すること自体が目的になってしまうケースです。
たとえば、「発注者に求められたからBIM/CIMモデルを作成する」「2次元で設計・図面作成をしたあと、納品のためだけにBIM/CIMモデルを作成する」といった進め方。
もちろん、納品要件に対応することは必須です。
しかし、後工程でどのように使うのかが明確でないままBIM/CIMを作成しても、結果として追加作業が増えるだけになってしまいます。
本来、BIM/CIM活用で目指すべきなのは、単に3次元モデルを作ることではありません。
- どの業務の課題を解決したいのか。
- どの情報を、誰が、どの業務で利用するのか。
- 将来的に、どのような維持管理の姿を目指すのか。
こうした問いに答えを持ってはじめて、BIM/CIMは活きてきます。
2. 落とし穴②:属性情報を増やせばよい、という誤解
BIM/CIMモデルは、構造物などの形状を3次元で表現したモデルに、属性情報や参照資料などを組み合わせたデータです。
そのため、「BIM/CIMモデルに多くの属性情報を入れれば入れるほど、活用しやすくなる」と考えてしまうことがあります。
しかし、必ずしもそうとは限りません。
必要以上に属性情報を付与すると、かえってその後の活用を難しくしてしまいます。
特に課題になりやすいのが、更新・活用・共有の3点です。
属性情報を更新するために専用ソフトの操作が必要になれば、更新できる人が限られます。維持管理の現場で日々発生する情報を反映しようとしても、限られた担当者しか更新できない状態では、情報はすぐに古くなっていきます。
また、BIM/CIMモデルの中に情報を入れ込んでも、必要な情報を取り出しづらければ、データ分析や業務効率化にはつながりにくくなります。
さらに、閲覧できる人や環境が限られていれば、組織内での情報共有も難しくなります。
つまり、属性情報を増やすこと自体が、BIM/CIM活用の正解ではないのです。
どの情報をBIM/CIMモデル内に持たせるのか、どの情報は外部の記録や資料として紐づけるのか。この切り分けこそが、活用の土台になります。
3. 落とし穴③:後工程で使えないBIM/CIMになってしまう
設計・施工段階で作成したBIM/CIMモデルは、その先の維持管理フェーズでも使えるのでしょうか。
実際には、そのままでは使えないというケースも少なくありません。
その理由のひとつは、工程ごとに必要な情報やモデルの詳細度が異なるためです。
設計段階では、設計検討に必要な情報が重視されますが、施工段階では、施工ステップや配筋など、実際に施工するための情報が必要になります。
一方、維持管理フェーズでは、長期的に管理するための情報や、点検・補修・修繕の履歴を扱いやすいことが求められます。
設計・施工向けに作られたモデルは、維持管理にとっては細かすぎたり、必要な情報が不足していたりすることがあります。
また、維持管理の現場では、設計・施工向けのBIM/CIMソフトウェアの操作に慣れていない担当者も少なくありません。
維持管理フェーズでは、建設後何十年にもわたって情報を保管し、履歴を更新し続ける必要があります。
だからこそ、後工程で誰がどのように使うのかを見据えたBIM/CIM設計が鍵になります。
4. 成功のポイント①:情報の“種類”に応じて管理方法を分ける
BIM/CIMを維持管理で活用するうえでは、すべての情報をモデル内で管理するのではなく、情報の特性に応じて管理方法を使い分けることが重要です。
例えば、部材名、設計仕様、寸法、規格など、時間が経っても変わりにくい情報は、BIM/CIMモデルの属性情報として管理するのに適しています。
一方、点検結果、劣化状況、補修履歴、修繕計画などは、日々更新される情報です。こうした情報をモデルに直接登録・更新し続けようとすると、その都度専用ソフトで編集する必要があり、現場で継続的に運用することは容易ではありません。
そのため、このような維持管理情報はBIM/CIMモデルの属性として持たせるのではなく、BIM/CIMと紐づけて管理することが有効です。
例えば、モデル上の部材や位置に点検記録や写真、報告書、補修履歴などを関連付けることで、情報の更新や検索がしやすくなり、現場でも継続的に活用しやすくなります。
変わりにくい情報はモデルに、更新される情報はモデルと紐づけて管理する。
この考え方が、BIM/CIMを維持管理で継続的に活用するための重要なポイントです。
5. 成功のポイント②:工程ごとに必要な情報を整理する
落とし穴③でも触れたように、設計・施工・維持管理では、BIM/CIMモデルに求められる情報や役割が異なります。
そのため、ひとつのモデルですべての工程に対応しようとするのではなく、各工程の目的に応じて必要な情報や詳細度を整理することが重要です。
例えば、維持管理では、竣工後の建物や設備(電気・配管など)の位置や仕様を確認できることが重要です。一方、施工時に必要だった詳細な配筋情報や施工手順は、日常の維持管理業務では必ずしも必要とは限りません。
重要なのは、各工程で「何のために使うモデルなのか」を明確にすることです。
目的に応じてモデルを最適化することで、必要な情報へ素早くアクセスでき、設計・施工・維持管理の各フェーズでBIM/CIMをより実用的に活用できるようになります。
6. こうした課題に、BIMSTOKはどうアプローチしているか
ここまで見てきたように、BIM/CIMを維持管理で活用するには、単にモデルを作成するだけでは不十分です。
変わらない情報と変化していく情報を分けること。
設計・施工・維持管理それぞれの工程に応じて、適したモデルや情報の持ち方を考えること。
そして、維持管理の現場で無理なく参照・更新できる状態をつくること。
BIMSTOKは、こうした課題に応えるための施設管理クラウドです。
たとえば、BIM/CIMモデル上の位置に、点検記録や補修履歴、写真、報告書などの情報を紐づけることで、空間と情報を結びつけて管理できます。
また、「ノート」機能では、不具合や点検情報などをひとつの記録単位としてまとめ、モデル上の位置と結びつけて管理できます。分散しがちな情報を一か所に集め、必要なときに探し出しやすくなります。
BIMSTOKが重視しているのは、BIM/CIMを高度な専門ツールとして閉じたままにするのではなく、維持管理の現場で使い続けられる形にすることです。
モデルと情報をつなぎ、必要な情報にたどり着きやすくし、更新し続けられる状態をつくる。そのための環境づくりが、BIMSTOKのアプローチです。
7. おわりに:BIM/CIMは、後工程で使われてこそ価値を発揮する
BIM/CIMは、作成すること自体が目的ではありません。設計・施工・維持管理といった後工程で活用され、日々の業務の中で使い続けられてこそ、本来の価値を発揮します。
そのために大切なのは、BIM/CIMモデルにあらゆる情報を詰め込むのではなく、情報の性質に応じて管理方法を分けること。変わりにくい情報はモデルの属性として管理し、点検結果や補修履歴など更新される情報はBIM/CIMと紐づけて管理することで、現場でも継続的に活用しやすくなります。
また、設計・施工・維持管理では、それぞれ必要となる情報やモデルの役割が異なります。導入時から「誰が、どの業務で、どの情報を利用するのか」を意識してモデルを整備することが、後工程で活きるBIM/CIMにつながります。
BIM/CIMの価値は、モデルを作ることではなく、使い続けられる仕組みをつくることにあります。
導入時から運用までを見据えて設計することが、BIM/CIMの価値を最大限に引き出すことにつながります。
維持管理BIM/CIMの導入や活用について、以下のような課題をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
- 点群データから維持管理用BIM/CIMを作成したい
- 既存のBIM/CIMデータを維持管理に活用できるか知りたい
- 点検記録や補修履歴をBIM/CIMモデル上で管理したい
- BIM/CIMを活用した維持管理業務の進め方を相談したい
実際の業務課題や管理対象を伺いながら、BIMSTOKでどのような活用が可能かをご説明いたします。
▼お問い合わせはこちら